「苦手克服に効くまとめノート」をつくる脳科学的4ステップ

何度テキストを読み返しても、用語を覚えられない」
「単語を暗記したのに意味を思い出せず、テストでいい点をとれない」
こうした勉強の悩みがある人は、脳科学に基づいた「まとめノート」をつくるのがおすすめ。

まとめノートというと、つくっても時間の無駄というイメージをもつ人もいるかもしれません。しかしコツを押さえれば、心強い学習ツールになります。そんなまとめノートのつくり方を、筆者の実践例とともにご紹介しましょう。

まとめノートが無駄になる、たったひとつの原因

まとめノートが無駄になる原因として、教科書やレジュメの「丸写し」を挙げます。学んだ内容をすべて書き写したところで、それはただ情報を羅列しているだけに過ぎず、知識を “使える” レベルで理解するまでには至らないからです。

では、無駄にならないまとめノートとは、どのようなものでしょう自分に必要な情報、具体的に言うと「記憶しにくい情報」だけを書き留めることをすすめます。すでに覚えている情報はいつでも思い出せるもの。勉強した時点で「覚えにくいな」と思った情報だけをまとめノートに書けば、書く過程で理解が深まるとともに、試験前など必要なときにも振り返りやすくなるのです。

脳科学に基づく無駄にならない「まとめノート」02

まとめノートに書くべき内容を適切に選び取るには、「ブレインダンプ」がおすすめ。やり方はシンプルで、テキストを読んで覚えたことを、テキストを見ないで紙に書き出すだけ。学んだことを脳内で整理し、思い出して書く過程で、覚えていない情報が浮き彫りに。まとめノートに書くべき「記憶しにくい情報」が明確になります

さらに、アウトプットしながら情報を整理できるので、記憶が定着するほか、応用力や思考力も高めるメリットもあります。

脳科学に基づいた、まとめノートのつくり方

脳科学的まとめノート の作成手順を紹介しましょう。

  1. テキストなどから知識をインプットする
  2. 学んだ内容をブレインダンプで書き出す
  3. ブレインダンプの結果をもとに、まとめノートを書く
  4. 重要な知識については、自己テストを作成する

ステップ2~4で知識をアウトプットする際の注意点は次の事柄です。

  • ブレインダンプをする際は、「1回のインプットにつき、学んだことを3個書き出す」などと目安の数字を決めておくと、初めてでも取り組みやすい。書き出すなかで自信がなかったところ間違えたところを「記憶しにくい情報」として判別しやすいよう、テキストへマークをつける。

  • まとめノートは、テキストへマークをつけた箇所を中心に作成する。「見出し→要点→説明文」の順に書くのが基本の型。あとで説明文を下敷きなどで隠し、暗唱できるか確かめることで復習する。

  • 自己テストの問題文は「○○の意味は?」といったシンプルなものでOK。一問一答形式だけでなく、記述式や選択式を混ぜてもよい。

脳科学に基づく無駄にならない「まとめノート」03

では、これらの手順で実際に勉強した様子をご紹介しましょう。

まとめノートを実際につくってみた

仕事でスムーズに思い出せない知識が増えてきたため、学び直しをしながら前述の手順どおり苦手をノートへまとめることに。

1. テキストなどから知識をインプットする

テキストは暗記用の赤シートが使える仕様になっていたので、まずはシートで見えない単語を埋めつつ、音読をしながらインプットしました。音読には記憶を強化する効果があるそうです。

2. 学んだ内容をブレインダンプで書き出す

次に、不要になったプリント用紙の裏面を使用してブレインダンプを実践。紙を縦横の両向きで試しましたが、横向きのほうが補足情報を書き込みやすいのでおすすめです。

脳科学に基づく無駄にならない「まとめノート」04

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思い出せない単語があった場合は、赤いペンでアンダーラインを引いてから正しい答えを書くことで、苦手を強調するようにしています。

必要に応じてインプットの時間を短くするといいので、単語さえほとんど思い出せない苦手分野については、インプットの間隔を短くして数分ごとにブレインダンプをすることに。

なかなか覚えられない場合には2回ブレインダンプを行ないました。人体の構造を覚えるのが苦手だったので、「胃」「目」など部位ごとに細かくブレインダンプ。また、歯の構造のように文章で表しにくいものは、簡単な図を書くようにしました。

さらにテキストの内容だけでは理解が深まらない場合、ブレインダンプの段階でほかの資料を読み詳細を確認しています。たとえば、咳を鎮める成分としてテキストには6つの名前が並んでいるのですが、「チペピジンヒベンズ酸塩」という長い名前を見るだけでは覚えられそうもありません。そこで詳細を調べて「主に小児用で使われる」「市販薬ではパブロンキッズかぜ薬に配合されている」といった補足情報を書き足すことで、記憶に残りやすくしました。

3. ブレインダンプの結果をもとに、まとめノートを書く

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続いて、こちらは実際に作成したまとめノート(左)自己テスト(右)です。ノートはB5サイズ(罫線7mm、30行)を使用。テキスト6ページ分を、2ページにまとめています。右端に縦線を引いてページ数を書き、必要な際はテキストをすぐ読み返せるようにしました。

まとめノートには、左上に「かぜ薬の主な配合成分」と見出しを書き、その下に10種類の成分カテゴリ(=要点)を記載しました。ただしそこから全種類を掘り下げると丸写しになってしまうため、ブレインダンプで記憶しにくい情報だと感じた3種類のみに絞って掘り下げることに。掘り下げる成分も特徴や注意点といったすべての情報を書くのではなく、特に覚えにくかったものだけをノートに書きました。

4. 重要な知識については、自己テストを作成する

右ページの自己テストでは、ブレインダンプで記憶しにくいと感じたものだけでなく、テキストの練習問題で間違えたものも盛り込んでいます。練習問題でのミスも参考にすることで、ブレインダンプの段階では苦手と気づけなかった内容もノートにまとめることができました。

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脳科学に基づいたまとめノートの効果

脳科学に基づいた「まとめノート」を作成して、得られた効果や提案したいことを以下にご紹介します。

意味のない丸暗記がなくなり、理解が深まった

以前なら「チペピジンヒベンズ酸塩」といった覚えにくい単語を、何も考えずに丸暗記しようとしていました。しかし、まとめノートを作成したり、テキスト以外からも情報を収集したりして学びを深めた結果、理解度がより高まったと感じました

試験に出やすい単語だけを覚えるのではなく、苦手な単語もひとつひとつ学ぶことで、仕事で役立つ実践レベルの知識が身についたと感じています。ただし、苦手な単語を覚える際に、ただ資料の丸写しをしてしまうと、「無駄なノート」になってしまうのでおすすめしません。説明内でわからない用語が出てきたらそのつど調べて、自分の言葉でまとめることを心がけました。

自己テストを細かく作成すると、より効果的

また自己テストにもたしかなメリットがあると感じました。

まず、テスト形式でより具体的に覚えようとすると、学習意欲が高まりました。ただ、一問一答形式と記述式のいずれも、単語の意味を理解していないと問題や解答が作成できないため、意欲は高まりますが思った以上に難しいと感じました。

とはいえ、その難しさは、学習の質を確実に高めてくれるものでもありました。自己テストを細かな項目ごとに作成することで、学んだ内容について理解がより深まったのです。

問題や解答を作成する際は、内容を要約する必要があります。要約には記憶の定着や内容を整理して理解を深める効果があるそう。実際やってみると、まとめノートで掘り下げた記憶しにくい情報を、細かな自己テストを作成する過程で自分なりに要約し覚えたことで、きちんと定着させることができました。

苦手をあぶり出して、記憶しにくい情報だけをまとめる、脳科学に基づいたまとめノート。ビジネスパーソンの資格勉強にもおすすめです。ぜひ、実践してみてくださいね。

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