ヨガのレッスンで『骨盤を立てましょう』というワードを聞いたことがある方も多いと思います。ヨガのポーズをより効果的に行うことはもちろん、「骨盤を立てる」ということは体に負担をかけずに正しく姿勢を維持するためにとても大切です。今日はそのメリットやコツのお話です。
骨盤を立てる、とはどんな状態?
「骨盤を立てる」とは、「骨盤を正しい位置におく」ことです。座っている場合も、立っている場合も骨盤が床や椅子に対して平行・垂直になっているポジションが、正しい位置とされています。骨盤が立っていないと、猫背や反り腰になりやすく、姿勢が悪くなる原因になります。骨盤を立てると、背骨が真っ直ぐに伸び、余計な力みがない姿勢を作りやすくなります。
骨盤は、身体の中心にある骨格で、上半身と下半身をつなぐ役割を担っています。
尾骨(びこつ)・寛骨(かんこつ)・仙骨(せんこつ)の3つの骨の組み合わせで構成されており、寛骨は腸骨(ちょうこつ)・坐骨(ざこつ)・恥骨(ちこつ)の3つの骨が融合してできています。寛骨は太ももを動かす大腿骨に、仙骨は上半身を支える背骨につながっています。
普段の姿勢や体の使い方の癖、出産経験やデスクワーク、立ち仕事など骨盤周りの筋肉にコリや緩みが生じることで、身体全体の歪みに繋がってしまいます。
骨盤の前傾・後傾とは?
骨盤の前傾・後傾とは、身体を横から見たときの骨盤の傾きのことです。「前傾」「後傾」それぞれに特徴があります。通常、骨盤はやや前傾気味です。まずは自分の骨盤が前傾、後傾どちらのタイプなのかチェックしてみましょう。
【前傾・後傾の見分け方】
壁に頭・背中・お尻をつけて、足を壁から5㎝離して立ちます。腰と壁の間に、手の平1枚分程度の隙間が正しい位置です。
この時、手の平1枚分以上の隙間があると「前傾」気味、手の平1枚分より狭い、指先しか入らないなどは「後傾」気味です。過剰に前傾になると、反り腰により腹筋がうまく使えず弱くなり、ぽっこりお腹の原因になったり、つま先に重心が傾きふくらはぎが発達するなどの影響が出てきます。骨盤が後傾になると、猫背になり、肩こりの原因や、胸がかたくなることで呼吸が浅くなったり、膝が曲がりやすくなるなどの影響が出てきます。
骨盤前傾、後傾の原因とは?
骨盤前傾タイプは、腿の前側の大腿四頭筋がかたくなっていて、骨盤後傾タイプは腿の裏側のハムストリングスがかたくなっていることが主な原因です。一方の筋肉だけ過度に負荷がかかり緊張していたり、うまく使えず緩んでしまったりと、筋力や柔軟性の差が生まれてしまっている状態です。
ヨガのポーズには、筋肉を伸ばす効果に加えインナーマッスルを鍛える効果も期待できます。骨盤の前・後傾を改善するのにもぴったりです。
骨盤を立てる意識により姿勢が改善されると、正しい姿勢になる、ぽっこりお腹の解消、肩こりや腰痛、冷え、むくみなどの不調改善など、見た目だけではなく、内臓や自律神経にも良い影響を与えてくれます。また、ヨガをしている方は、体に負担をかけずに、ポーズがとりやすくなります。
骨盤を立てるときに意識するポイント
・おへその下のあたりを締める
・背骨を真っ直ぐ天井に向かって伸ばす
・左右のお尻に均等に体重を乗せて座る
・目線は真っ直ぐ、軽く顎を引く
・肩の力は抜く
いかがですか?ポイントを意識して、そして更に余計なところに力が入っていないか確認してみましょう。それでも、「骨盤を立てる」という感覚が分からないときには、折りたたんだブランケットやヨガブロックを使ってみましょう。
手でお尻のお肉を後ろにかきだし、折りたたんだブランケットや、ヨガブロックの前の方に左右の座骨に均等に体重をのせて座ります。全体に座ると猫背になりやすいので、ブランケットの端に座骨を載せて座り、腰の位置を膝よりも高くして座ると背筋が気持ちよく伸びます。
■骨盤を立てて座りやすくなるストレッチ
・手は肩幅、脚は腰幅に開き、足先を立てます。
・両手の間に右足をつき、左膝を少し後ろへひきます。
・上体を起こし、両手を腿に添えます。
・まっすぐの背骨のまま、尾骨を床へ沈めます。腿の前側、脚の付け根の伸びを感じましょう。
・胸を高く引き上げ、目線は斜め上を見上げます。深い呼吸で30秒目安にキープしましょう。
・両手の指先を立て、肩の下の床に両手をつきます。お尻を後ろへ引き、右のつま先を立て、腿の裏側の伸びを感じます。この時、背中が丸くならないように注意しましょう。30秒目安にキープし、よつんばいに戻ります。反対側も行いましょう。
いかがでしたか?骨盤が立つことで、背中の無駄な緊張も取れ、正しい姿勢はもちろん、ヨガのポーズも取りやすくなります。ぜひ、日常から意識してみて下さいね。