脚の動きの要となる股関節は、ヨガポーズのキーパーツであり、同時に悩みの多い部位でもあります。そこで「できない」苦手ポーズから股関節の状態を知り、悩みを解決する方法をご紹介します!
目指すは、柔軟性と筋力を兼ね備えた股関節
股関節の理想的な状態とは、「安定したポジションで正しく機能できること」と中島陽平先生。そのためには、柔軟性と筋力の両方が必要になるそう。
「股関節の柔軟性を高めたいと思うときは、硬くなっている筋肉の反対側で筋力低下が起きているケースが多いです。そのため、ストレッチを行うだけでなく、低下した筋力を高めるトレーニングを行うことが柔軟性の向上につながります」
そこで、まず始めに行いたいのが、下のチェックテスト。苦手な動きから硬くなっている筋肉の場所を確認しましょう。
「筋肉の硬さを把握したら『相反神経抑制』という神経作用を使ってヨガポーズやワークを行うのが効果的です。相反神経抑制とは、力を入れて筋肉を収縮させると反対側の筋肉がゆるむという神経の反射。これを使うことで柔軟性と筋力アップの両方を実現できます。結果的に股関節まわりの筋肉のバランスが整い、一過性ではない柔軟性を手に入れることができます」
さっそく試してみましょう!
苦手な動きを確認してみよう
【CHECK】前後開脚が苦手
三日月のポーズで後ろ脚が股関節から伸ばせるか確認。目安は腰の真下より20㎝以上後ろ。伸ばせない人は後ろ脚の付け根が硬い証拠。
このタイプが苦手なポーズ…【開脚系】【後屈系】
脚の付け根が硬いと前後開脚などの開脚系や、コブラのポーズ、アップドッグなどの後屈系ポーズで、腰が詰まりやすくなります。
柔軟性アップのポイント
柔軟性を高めようと、やみくもにストレッチをしても、十分な効果は得られません。ポイントを押さえて、効果的に行うことが柔軟性アップのコツです。
POINT1 相反神経抑制を使う
筋肉が収縮すると、その反対側の筋肉が弛緩してゆるむ、相反神経抑制を使うことで股関節を安定させた状態で柔軟性を向上することが可能。この神経作用を使うと、体が柔軟な動きを記憶し、日常動作でも柔軟性を発揮できるように。
POINT2 キープは10秒以上
体に力を入れると、筋肉はすぐに収縮しますが、瞬時に反応するのは使い慣れている筋繊維。10秒以上長めにキープすることで筋繊維全体が反応してしっかりと収縮。その反対側の筋肉も十分に伸び、硬さがほぐれやすくなります。
POINT3 なるべく継続して行う
筋肉は、継続して動かすことで活性化します。たとえば、ヨガポーズ&ワークで体がほぐれたら、次はそのほぐれた状態からスタートでき、より柔軟性が高まりやすく。逆に間が空くと、筋肉は元通りになってしまうので、ぜひ続けて行って!
苦手な動き別・硬さ解消ポーズ&ワーク
上のチェックテストをもとに、苦手につながる筋肉の硬さを解消。相反神経抑制を使って筋肉を収縮しながら柔軟性を高めましょう。
前後開脚が苦手な人のストレッチ
お尻の筋肉に力を入れて、脚の付け根を柔らかくする
前後開脚が苦手で脚の付け根が硬い人は、背骨下部〜大腿骨をつなぐ腸腰筋が硬く収縮しています。反り腰で、お腹が前に出やすい人も、ここが硬くなりがち。脚の付け根と反対側のお尻に位置する大臀筋に力を入れて、腸腰筋をゆるめましょう。
●ヨガのポーズなら…
四つん這いから右脚を両手の間に踏み出し、膝の真下にかかとをセット。左脚を後ろに伸ばし、足裏を強く伸ばして10秒キープ。反対側も同様に行う。
POINT
・腰が反らないように背中を真っすぐ伸ばす。
・足裏を床と垂直にし、かかとを後ろに押す。
●ワークなら…
①仰向けになり、両膝を抱えて胸に近づける。
②右膝は固定し、左膝を伸ばし、足先も伸ばす。左膝裏で床を押すようにしながら10秒。反対側も。
POINT:膝裏で押すとき、お尻に力が入るのを感じて。
□比べてみよう!
後ろ脚の膝を、後ろに伸ばしやすくなったら、腸腰筋がほぐれて柔軟になったサイン。