意識しないと使われにくく、硬くなりがちなハムストリングス。日常生活にも取り入れやすい、椅子を使ったチェアワークで無理なく効率よく柔軟性を高めましょう。
筋肉を伸び縮みさせて血流を促し、柔軟性アップ
腿裏の筋肉、ハムストリングスは「日常生活の中で無意識に使われなくなっている筋肉」と中島陽平先生。
「デスクワークなどで座っている時間が長かったり、歩行時に膝下だけを動かしていると、ハムストリングスが使われず、筋肉が伸び縮みされないため血流が悪くなります。すると、老廃物が回収されずにどんどん蓄積され、筋肉が硬くなってしまうのです」
そのため、ハムストリングスはストレッチをしても、すぐに硬くなりやすい筋肉と言えます。そこで行いたいのが、隙間時間にできる椅子を使ったワーク。
「ハムストリングスは、膝裏から坐骨についている筋肉なので、椅子に座り、骨盤を立て、股関節を支点に上半身を前傾させていくと、効率よくストレッチできます。椅子を使って行うワークは脚力が弱い人に行やすいのもメリットですね」筋肉を伸ばした後は、縮めることも大事なポイントです。
「筋肉を伸び縮みさせポンプのように動かすことで血行が良くなり筋肉がより柔らかくなります。筋肉を縮めると筋力強化にもなり、柔軟で強い筋肉がつくられるのでポーズのアライメントが安定します」
ハムストリングス
膝裏からお尻のつけ根に位置し大腿二頭筋、半膜様筋、半腱様筋の3つの筋肉から構成。
チェアワークの前後で確認してみよう
ハムストリングスが硬いと苦手な代表ポーズが前屈。ワークの前後に前屈で柔軟性をチェックしてみて。
BEFORE
AFTER
骨盤はしっかり立たせた状態で前傾していくことがポイント!
チェアワークでハムストリングスを伸ばすには、骨盤の位置が重要。骨盤を立てた状態で、上半身を前に倒すことで、ハムストリングスにストレッチを加えることができます。反対に、骨盤が後傾すると腿裏が伸びないので注意。
NG
OK
ストレッチの前に硬さをリリースするプレワーク
1. テニスボールを使って腿裏全体をほぐす
テニスボールで圧をかけながら腿裏全体をマッサージ。“痛い=筋肉が硬い”サインなので痛みの強い部分は、特に念入りほぐしましょう。
①テニスボールを1個用意する。座面が平らな椅子に深めに座り、左脚の腿裏の真ん中にボールを入れる。
②太腿を左右に揺らしながら脚の付け根までほぐす。次に、ボールを最初の位置に戻し、同様に膝上までを痛みがやわらぐまでマッサージ。右脚も同様に。
2. ハムストリングスまわりの筋肉の滑りを促す
ハムストリングスは内側と外側にある筋肉から構成されています。これらに隣接する筋肉との境目をほぐすことで、筋肉同士の滑りがよくなり、ストレッチがスムーズに行いやすくなります。
椅子に座り、左脚のハムストリングスの外側を右手と左手で掴む。左手は固定し、右手でさすり外側全体をほぐしていく。同様に太腿の内側を、下側から左手で、上側から右手で掴み、さする。右脚も同様に。
左腿裏に右手を当て、膝を内側に曲げると力が入るハムストリングスの外側を掴む。そこに沿わせるように腿上から左手でも掴む。下側の手を動かす。