仕事中に別の仕事のことが思い浮かぶ、あるいは仕事すらせずについネットサーフィンをしてしまう……。そのように仕事中に気が散ってしまうという社会人も、リモートワークが広まったいまは多いかもしれません。
集中力を持続させる「マルチタスクワーキング」
仕事中なのについ気が散ってしまう人におすすめしたいのは、「マルチタスクワーキング」という仕事法です。マルチタスクワーキングとは、その名のとおり、複数のタスクを同時並行的に進めること。
みなさんの気が散ってしまうのはどんなときですか? おそらく、目の前のタスクに集中できなくなった——つまり、飽きてしまったときでしょう。そうであるなら、飽きてしまう前に、別のタスクに取りかかればいいのです。
集中力が持続する時間は人によってまちまちであり、短い人もいれば長い人もいます。ですから、3分でも30分でもいいので、まずは自分なりにひとつのタスクを行なう制限時間を設定しましょう。そして、スマートフォンのタイマーアプリなどを使って、設定した時間がきたら強制的にタスクをどんどん切り替えていくのです。
どんなに集中力が続かない人も、さすがに3分であれば集中することができますよね? そうして集中しているうちに次のタスクに移ると、「前のタスクももうちょっとやっておかなければ」「やりたい」という気持ちが湧いてきます。そのため、次にそのタスクに取りかかるときにも、集中状態に入り込みやすくなるのです。
たった3分の集中だとしても、10回積み重ねれば30分、20回積み重ねれば1時間と、まさに「ちりも積もれば山となる」で、積み重ねることによって大きな時間になります。デスクの前にいくら長く座っていても、その大半をネットサーフィンに使ってしまうようなことと比べれば、3分の集中を繰り返すことのほうが、仕事ははるかにはかどるはずです。
短時間で切り替えるからこそ、タスクにのめり込める
このマルチタスクワーキングのポイントは、ひとつのタスクを行なう制限時間を、集中力が持続するギリギリの時間に設定しないことです。
集中力がギリギリ続く時間に設定したために、もし本当に集中力が途切れると、それこそ飽きてしまうことになります。飽きてしまうと、もう一度そのタスクに戻ることに対しては、なかなか気持ちが乗りません。気持ちが乗っているうちにタスクをやめることで、次の再スタートを切りやすくなるわけです。
また、「自分は2時間でも3時間でも集中できる」人も、ひとつのタスクを行なう制限時間は短めにしておくのがいいでしょう。短い時間にしておくことで、「30分やればいい」とか、あるいは「30分しかやれないぞ!」と感じられ、目の前のタスクに対して強くのめり込めるようになるからです。
マルチタスクというと、「人間の脳はマルチタスクに向いていない」「シングルタスクしかできない」といった話を聞いたことがある人もいるかもしれませんね。しかし、私が紹介した方法は、あくまでも「同時並行的」であって、実際にはシングルタスクを切り替えながら行なうもの。ですから、「マルチタスクワーキングは脳に向いていない」といった心配をする必要はありません。
1日のスタートは「軽い」タスクから始める
それから、マルチタスクワーキングにおいて取りかかるタスクの順番にも、コツがあります。それは、「軽い・重い」を繰り返すことです。
一般のビジネスパーソンにとっては、たとえば文章を書く仕事は、つらく「重い」と感じる人が多いようです。一方で、フォーマットの決まっている書類を作成するといった作業的要素が強い仕事は、比較的「軽い」と感じるものでしょう。
その「軽い・重い」が交互になるように、タスクの順番を組むわけです。そうすれば、重いタスクを続けてやらなければならないというつらい状況を避けられ、集中力をしっかりと持続できるでしょう。
また、特に1日の最初に取りかかるタスクについては、「軽い」ものにすることもおすすめしておきます。軽いものから取りかかるからこそ、スムーズに頭が仕事モードに入っていけるからです。
このことは、自転車に例えるとわかりやすいでしょうか。重いタスクから取りかかるのは、上り坂に停めている自転車をこぎ出さなければならないような状況にあたります。当然、こぎ出しがしんどいために、仕事モードにもなかなか入れません。
反対に、軽いタスクから取りかかるのは、下り坂にとめている自転車をこぎ出すような状況です。下り坂ですからこがなくても自転車は走り始めますし、重いタスクに切り替えて上り坂になったとしても、しばらくは惰性による勢いで走ることができます。
気が散りがちな人は、ぜひ「軽い・重い」の順でマルチタスクワーキングを行なってみてください。これまでよりずっと仕事に集中できるはずです。