寝る前20分の 日記と瞑想。「日記×マインドフルネス」の組み合わせがメンタル不調時に最適だった

「不安や不満をため込んで、精神的に疲れてしまった……」
「前向きな気持ちになれず、仕事や勉強に身が入らない……」

こうしたメンタルの不調に悩んでいる方は、マインドフルネスと日記をかけ合わせた「セルフ・ナレーション日記」を試すとよいかもしれません。その方法や効果をご紹介しましょう。

「セルフ・ナレーション」はマインドフルネスの一種

セルフ・ナレーションとは、自然と湧き起こった感覚や思考を観察する「観察瞑想」と呼ばれる、マインドフルネスの技法のひとつ。簡単に言うと、テレビやラジオの実況中継のように、自分の状態を「第三者の目線から説明する」ことを頭のなかで行なうというものです。

セルフ・ナレーションを行なうと、自分の体験と適度な距離をとれる。結果として、感情に振り回されることも減ります。

たとえば、同僚と意見が対立してイラっとしたとしましょう。このとき、自分がいま体験している感情を少し遠い距離から眺めるつもりで、「自分はいま腹立たしいと感じている」とナレーションしてみます。すると、おのずと冷静さを取り戻せるのです。結果、イラっとして暴言を吐くといった感情任せの対応ではなく、「こうしてみてはどうだろう?」と筋道立てて相手と話すことができます。

スタンフォード大学・オンラインハイスクール校長の星友啓氏は、マインドフルネスには、恐怖や強い感情を感じたときに働く脳の「扁桃体」が活性化するのを鎮める働きがあると説きます。マインドフルネスを実践すれば、感情や思考を無理に抑え込もうとしたり、逆に振り回されたりせず、平静な心で素直に自分と向き合う力が身につくそうですよ。

「セルフ・ナレーション日記」をやってみた02

 

セルフ・ナレーション日記とマインドフルネス

セルフ・ナレーション日記のやり方

セルフ・ナレーションを頭のなかだけでやろうとしても、いきなりは難しいでしょう。そこで関屋氏は、1日の終わりに今日の出来事を思い出してセルフ・ナレーションをしながら記録する「セルフ・ナレーション日記」をすすめています。

記録するのは、「考え」「感情」「身体感覚」「行動的な衝動・行動傾向」「記憶」の5項目。第三者の目線で表現することを心がけるといいそうです。

では、各項目の書き方を説明します。例として「チームメンバーで自分だけ上司に叱られた」という出来事があった日の、セルフ・ナレーション日記の文例とともにご紹介しましょう。

  1. 考え
    出来事が起きたとき、その場でぱっと頭に思い浮かんだことを「~と考えている」と表現する。
    例)自分だけが損をしていると考えている。
  2. 感情
    出来事が起きたときの感情を「~という気持ち・感情がある」と表現する。「底なし沼にハマったみたい」と比喩で表現してもよい。
    例)いらだって、いてもたってもいられないような感情がある。
  3. 身体感覚
    出来事が起きたとき、身体にどんな生理的な反応があったかを「○○に~という感覚がある」と表現する。
    例)頭にカッとする感覚がある。
  4. 行動的な衝動・行動傾向
    出来事が起きたときに、どんな行動をとりたくなったかを「~~したいという衝動がある」と表現する。
    例)上司に直接ひとこと言ってやりたいという衝動がある。
  5. 記憶
    出来事が起きたときに思い出した過去の似たような状況について「~の記憶が浮かんでいる」と表現する。
    例)学生時代、自分だけ部活の顧問に叱られたときの記憶が浮かんでいる。

過去の記憶も一緒に記録するのは、過去と現在の情報(感情や経験)を組み合わせて、よりよい意思決定を導き出すためだそうです。自分だけ部活の顧問に叱られたとき、またほかの似たような状況ではどうやって切り抜けたのかを思い出してみると、今後の対策も考えやすくなります。

慶應義塾大学SFC研究所・上席所員の西本真寛氏によると、マインドフルネスには、脳のネットワークであるデフォルト・モード・ネットワーク(DMN)を活性化させる働きがあるそう。このDMNが活性化すると、想像力や発想力が高まると期待されています。セルフ・ナレーションをしているときなら、困り事へのよい対策を考えられそうですね。

マインドフルネスのやり方

何も考えずに呼吸を意識して体に流れるエネルギーを感じましょう。
最初のうちはメトロノームのリズム70テンポ位でリズム音だけに集中して、体を流れるエネルギーをイメージしましょう。10分間続けてエネルギーのイメージを掴みましょう。

また、セルフ・ナレーション日記とマインドフルネスを推奨する東京大学大学院医学系研究科精神保健学分野によると、セルフ・ナレーションとマインドフルネスを行なうには1日20分あればいいとのこと。たった20分なら、1日の終わり、寝る前でも実践できそうです。

「セルフ・ナレーション日記」をやってみた03

 

自分の気持ちに素直になれて、心が軽くなるマインドフルネス効果

これまでは、イライラや不安があると自覚しながらも、何が原因なのか、自分はどうしたいのかがわからないまま放置することが多くありました。今回、マインドフルネスを実践したことによって、自分の素直な気持ちと丁寧に向き合うことができます。

「ポジティブな出来事」も

マインドフルネスには、ポジティブな気持ちを維持しやすくして、人生の意義や幸福感を高める働きもあるそう。

「新しい仕事を任された」「部屋の掃除がはかどった」など、よい出来事が一番に思い出されたときには、ポジティブな内容を日記に書いてみましょう。また休日にも、できるだけマインドフルネスをしてみましょう。すると、幸せをかみしめるような感覚が生まれ、気持ちよく眠りにつき、翌日の仕事に高い意欲で取り組むことができるのです。

不安や不満をため込んで疲れきっている心をほどいてくれる、セルフ・ナレーション日記とマインドフルネス。1日20分程度でできるので、ぜひ試してみてくださいね。

マインドフルネスの効果を最大限引き出すには専門知識が必要です。

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