“勉強が続かない人” の3つの勘違い。「一気にやる」より「休み休みやる」ほうが効果的だった

「勉強の習慣を身につけるぞ!」という気持ちはある。たくさんのことを覚えたいし、勉強時間を少しでも長く確保しようと思っている。それなのに、いつになっても勉強の習慣化に成功できない……。

それはあなたが、勉強についてちょっとした勘違いをしているせいかもしれません。

今回は、勉強の習慣化を妨げかねない、学習に関する “よくある勘違い” を3つピックアップします。まさにその勘違いをしている……と気づいたあなたのために、改善策もお伝えしましょう。

1.「勉強には “充分な時間” が必要だ」というのは勘違い

とある休日。「今日は朝からたっぷり勉強できるチャンスだ。夕方までには勉強を終えて、夜はゆっくりしよう」と思っていたのに、ついダラダラしてしまって夜中まで勉強が終わらなかった……。

こんな経験ばかりが重なると、勉強が負担に感じられて、なかなか習慣化には至らないもの。こうなってしまうのは、「勉強は “充分な時間” をとって取り組むべきものだ」と勘違いしているせいかもしれません。

じつは、1回の勉強にかける時間は長いよりも「短い」ほうが、効率がよいうえ習慣化しやすいのです。

「パーキンソンの法則」をご存じでしょうか? これは、1958年にイギリスの歴史学者シリル・ノースコート・パーキンソン氏が提唱した法則。簡単に言えば「タスクの終了時間が明示されると、人はそのタスクを終えるのに時間いっぱいまでかける」というものです。

先ほど挙げたシチュエーションも、パーキンソンの法則で説明できます。「今日はたっぷり時間があるから、まだ大丈夫、まだ時間がある……」と考え、ついダラダラして夜中までかかってしまったわけです。

「勉強が続かない人」がしている3つの “勘違い” 02

ですから、一度に長時間勉強しようとするのはやめましょう。かわりに、短いスキマ時間を活かして勉強してみてください

東大を首席で卒業した弁護士の山口真由氏は、4分あれば本を開き、6分あればパソコンを開いて論文を書くほどにまで、スキマ時間を徹底活用し勉強を積み重ねているそうです。スキマ時間を有効に使えるよう、ノートパソコンや本を常に持ち歩いているのだとか。

忙しくても勉強できる人は、ほんの少しの時間を “自分のため” に使う習慣をもっている――そう山口氏は語ります。「時間ができたらこれをする」というシンプルなルールをつくることが、勉強を継続し、いずれ大きな成果を出すことにつながるのです。

勉強には時間がたっぷり必要なはずと思い込んでいた人は、本やタブレットなどを持ち歩き、スキマ時間に集中するスタイルに変えてみてはいかがしょうか。

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2.「 “ひとつの分野” に集中すべきだ」というのは勘違い

ある科目の成績が、いつまでたっても伸びない。ほかの科目を勉強する時間がなくなってきたし、モチベーションも下がってきた。これではとても勉強を続けられそうにない……。

そんなあなたは、「ひとつの分野が完璧になったら、次の分野へ進むべきだ」と思っていないでしょうか。たしかに、ある分野の理解が不完全なまま次の分野へ進んだら、もっとわからなくなりそうな気がしますよね。

ですがじつは、ひとつの分野に集中するより「別々の内容を交互に勉強する」ほうが、成績が上がりやすいのです。飽きが来ないので、習慣化もしやすいと言えます。

同じ内容を繰り返し勉強する「反復学習」は、取り組みやすいものの、成績を上げることに関しては一定の効果しか得られないと指摘されています。

より効果的だと言うのは、別の内容を交互に勉強する「インターリーブ学習法」です。各内容の特徴をより鮮明につかめて、知識が身につきやすくなるのだそう。

その根拠として次の研究結果があります。

カリフォルニア大学ロサンゼルス校心理学教授のロバート・ビョーク氏らは2006年、被験者の学生を以下の2グループに分け、さまざまな絵画を覚えさせました。

  • 「絵画を作者ごとに覚える」グループ
    例)作者A=絵a・b・c……、作者B=絵1・2・3……
  • 「絵画と作者名をランダムに覚える」グループ
    例)作者A=絵a、作者B=絵3、作者C=絵☆、作者A=絵c……

じつはこの勉強の目的は、作者名と絵画名のセットを覚えさせることではなく、作者ごとの画風を学ばせること。そして、ひととおりの勉強を終えたのち、勉強の際には見せなかった絵画を学生に提示し、その作者を答えさせました。すると、絵画と作者名をランダムに覚えたグループのほうが、成績がよかったのだそうです。

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上記の結果から、ひとつのことだけを集中して勉強するより、違う事柄を混ぜながら勉強するほうがより理解が深まりやすいと言えます。

ただし、なんでもランダムに混ぜればいいわけではありません。ビョーク氏によると、大事なのは情報どうしを関連づけること。

たとえば、「数学・物理・化学」「マーケティング・ウェブライティング・ウェブデザイン」のように、内容に関連性がある事柄を交互に勉強するとよいようです。

高い集中力を発揮できる時間は15分だといわれています。これをインターリーブ学習法に活かし、15分ごとに勉強内容を変えてみるのはどうでしょう。

たとえば、最初の15分はマーケティングの本、次の15分はウェブライティングの資料を読み、次はまたマーケティングに戻って、その次はウェブデザインが学べる動画を見る……といった感じで、代わる代わる取り組むのです。

そうすれば、時間も集中力も無駄にせず、成績を上げながら勉強を続けることができますよ。

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3.「一気に覚えてしまったほうが、あとがラク!」というのも勘違い

資格試験で必要な情報が覚えられない。全部頭のなかに詰め込まないといけないのに、いつになっても覚えられる気がしない。だんだん、勉強するのも嫌になってきた……。

そんなあなたは、「知識は一度にすべて頭のなかへ詰め込むものだ」と考えているかもしれません。勉強時間が限られている人ほど、そう考えてしまいがち。

じつは、情報は一気に覚えるより「間隔を空けて復習しながら」覚えるほうが、記憶に定着しやすいのです。覚えられないからとモチベーションを下げずにすみ、より勉強を習慣化しやすくなりますよ。

ワシントン大学心理学教授のヘンリー・ローディガー氏によると、一気に詰め込むタイプの勉強ばかりしていると、ゆくゆく成績を大幅に落とすおそれがあるのだそう。

一夜漬けで乗りきった試験科目の知識が、数日後にはもう思い出せなくなっている――ということがよくあるように、一気に頑張って知識を詰め込んだとしても、短い期間しか覚えていられず、長期的に役に立つ記憶にならないからです。

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そこで取り入れたいのが、適度に期間を空けつつ勉強する「分散学習」。一度に全部覚えるのではなく、復習を重ねながら記憶を強くしていくのです。

具体的な復習間隔として、脳研究者の池谷裕二氏は以下のタイミングをすすめています。

  • 学習した翌日に1回め
  • その1週間後に2回め
  • その2週間後に3回め
  • その1か月後に4回め

こうしてトータル2か月間かけて復習するといいそうです。覚えられると楽しい、楽しいからまた覚えられる、とどんどん好循環になっていくとのこと。勉強を無理なく習慣化することも、きっとできるはずですよ。

なお、独立行政法人理化学研究所の報告で、学習と学習のあいだの休憩中に小脳皮質でつくられるタンパク質が、学習内容の長期的な記憶に重要な役割をもつと示されています。「一気に覚える」より「休み休み覚える」くらいの気楽さがあるほうがいいようですね。

あなたの勉強方法の改善点は見つかったでしょうか。正しい勉強法で効果を上げて、今度こそ勉強を続けられるよう願っています。

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