ミニッツダイアリーとは、朝3分、夜3分で書く日記のこと。朝に3つ、夜に3つの質問に、各1分で答えるだけなので、計6分間という短時間で書けるのが魅力のひとつです。脳科学および心理学に基づいた科学的メソッドであること。気軽に取り組める簡単な日記法なのに、よりよい人生を歩む助けとなってくれること。これらが、世界中で熱狂的に支持される理由のようです。
「朝3つ、夜3つの質問」に答えよう
6ミニッツダイアリーでは、自分の本当の望みや目指すべき目標、人生における優先順位を明らかにしていきます。
【朝の質問】
- 「いま感謝していることは?」
感謝していることを3つ挙げてそれぞれの理由を書くか、感謝していることを1つ挙げてその理由を3つ書きます。一日の初めから、ポジティブな感情に目を向けます。
(例)
“感謝していること:信頼できる友に囲まれて過ごせていること”
“理由:刺激を得られるから・悩みを共有できるから・毎日が有意義だと感じられるから” - 「今日の目標は?」
今日一日の可能性やチャンスに焦点を当てます。「〜になりたい(感じたい)ので、〜する」という形式で書き、行動の理由を明確にします。
(例)
“人とのつながりを感じたいので、友人をヨガに誘う” - 「自分がありたい理想の姿は?」
こうありたいという姿を詳しく書きます。「私はできる、もっとよくなる」と肯定的に宣言し、潜在意識へ刷り込むのです。シュペンスト氏はこれを「肯定的なアファメーション」と呼んでいます。
(例)
“友人に信頼してもらえるような、気遣いができる人間になりたい”
夜の質問】
- 「今日誰かにしたよいことは?」
人を喜ばせられたと思うことを書きます。誰かのためにいいことをしたという認識が、自分の幸福を長続きさせます。
(例)
“友人からの相談を受けて、話を聴いた” - 「明日をいい一日にするには?」
今日の成長、学んだこと、改善できるところを書きます。他人と比べず、過去の自分と比べるのがポイントです。
(例)
“一方的にアドバイスせず、聴き手に回ることができた。もっと多くの人達の話を聞き輪を広げていけば多くの人助けを出来る。 - 「今日の嬉しかった出来事は?」
その日あったよいことを書きます。些細な幸せを逃さず書き残してから眠りにつくことで、いい記憶を強化します。
(例)
“話を聴いたて一緒に瞑想でリフレッシュしたら友人に喜んでもらえた”
このように、「ほかの人にいいこと」にとことん目を向けるのが、6ミニッツダイアリーなのです。
「6ミニッツダイアリー」が有効である科学的根拠
6ミニッツダイアリーは、単なる日記ではありません。
ポイントとなるのが、脳の仕組み。脳は、ポジティブなことよりもネガティブなことを、より記憶に残しやすいのだとか。これは、生物が生き抜くため、リスクを敏感に察知しようと身につけた仕組みなのだそうです。
つまり、私たちは何もしないままでは自然とネガティブなことを考えてしまうということ。そこで6ミニッツダイアリーでは、あえてポジティブなことを何度も考えて、脳にポジティブ思考の癖をつけていくのです。このように「繰り返す」ことを通じて脳のネットワークをつなぎ直すことを「神経可塑性」と呼ぶのだとか。
実際に以下のような研究結果があるそうです。ポジティブ心理学の創始者マーティン・セリグマン氏が、600人近い被験者に、幸福度を高める5種類のワークのなかから1種類を選び、1週間実践させたというものです。
すると効果が表れたのは、次のワークだったとのこと。
- 感謝の手紙を毎日書く
- その日あったとのよい出来事を毎日書く
- 人との出会いに感謝して絆を大切にしていることを毎日書く
- 実際に幸せにする活動をして毎日書く
そして驚くべきことに、1週間後、1か月後、3か月後、半年後と追跡調査を行なったところ、被験者の幸福度は、常に前回を上回っていたそう。
たった1週間の実践で、半年後まで幸福が増し続けたのです。ポジティブな物事に目を向けることは、それほど大きな効果をもつと言えます。
シュペンスト氏は、内容をより記憶に残しやすくするために、手書きを推奨しています。
「6ミニッツダイアリー」を書いたら、幸せをたしかに実感できた!
実践してみて特に感じた効果や実践のポイントを、3つお伝えします。
先延ばしにしていたことを達成できた!
最も効果を感じたのは、朝の質問の2つめ「今日の目標」を書いたとき。いままでなら「明日でいいや」「やらなくても困らない」と思ってやらなかったことを目標として書いたところ、自然とやる気が出て、ほぼ毎日目標を達成できました。
たとえば、初日には、ずっと先延ばしにしていた「疎遠の友人と話してみる」を目標に設定。その日も一瞬「明日でいいや」と思いそうになったのですが、「でも今日の目標だから」と思い直し、実行できたのです。
夜にダイアリーを書いた際にも、「目標を達成できた」と自分をほめることで、気分が満たされました。
嬉しい気持ちを再確認できて、幸せな気分が倍増した!
夜の質問の3つめで嬉しかったことを振り返る作業にも、効果を感じました。実際にその出来事が起こった瞬間ももちろん嬉しかったけれど、思い返すことで嬉しい気持ちを再確認でき、幸せな気分が倍増するように感じたのです。
たとえば、「ヨガをやった、体内のエネルギーの流れがほんの少し強くなった」と書いただけで、その日のヨガサークルがいっそう特別に思えました。特別な出来事がない平凡な日でも「いい人と巡り合った」と思えて、いい気分で眠りにつくことができましたよ。
なお、筆者なりのアレンジとして、夜の質問の1つめ「誰かのためにしたよいこと」については、「自分のためにしたよいこと」も含めました。すると「昨日までの自分や周りの人達に感謝したい」と思える日も出てきて、これはこれで幸せの自給自足ができたと思います。
ノートは見える位置に置こう&些細な内容でも大丈夫
実践を通して、「こうするとより書きやすい」と思ったポイントがふたつあります。
ひとつめは、置き場所です。普段日記を書かない人がやろうとすると、きっと習慣化しづらいはず。そこでノートとペンを、ベッドサイドテーブルなど目に入りやすい場所に置くことをおすすめします。
ふたつめは、内容について。実践初日は比較的まじめに書きましたが、2日めは休日だったこともあり、くだけた感じで書いてみたところ、一気にダイアリーが楽しくなりました。「こんなことがあって嬉しかった」「今日はこれをやるぞ」と、SNSに気軽に書き込む程度の些細な内容から始めると書きやすそうです。