“ただのメモ” が “成果が出るメモ” に進化した。

仕事の打ち合わせや会議などで書く “いつものメモ” を、「仕事の成果を上げるメモ」に進化させてみませんか? そのために必要な要素を探り、優れたメモ術を軸にアレンジすれば可能なはずです。

仕事の成果を上げるメモ」の3要素とは

◎ 効率

  • 手書きする:よく頭が働いて集中できるから。キーボードより手書きのほうが効果的に学習できると研究(※)で明らかに。
  • すべて書き留めない:一語一句書き込むのは時間とエネルギーの無駄遣いだから。ポイントや結果、次のステップなどを書けばいい。
  • 自分に合うメモ術を見つける/メモのテンプレートを活用する:フォーマットを準備する必要がないので、すばやくメモできる。
  • 誰に質問するべき内容かトピックごとに明記:疑問や不安が生じても、聞く相手を迷わないので仕事がスムーズになる。

これらが示すのは「効率」ではないでしょうか。仕事には欠かせないものですね。

(※2014年発表の研究『The Pen Is Mightier Than the Keyboard: Advantages of Longhand Over Laptop Note Taking 』参考)

 

◎ リアルな記憶

メモの際に押さえておきたいポイントとして、次の3つを挙げられています。

  • 手書きにする:自由度が高く、頭に入りやすいから。
  • ノート(メモ帳)は1冊しか持たない:おのずと時系列順に並ぶから。
  • 日付と場所と相手を書く:読み返した際にその内容を思い出しやすいから。
  • 書いたときの感覚も記録:メモを書いたときの雰囲気を頭のなかで再現しやすいから。

これらが示すのは、そのときの情景が脳裏に浮かぶ「リアルな記憶」ではないでしょうか。立体的な記憶は、複雑な物事の解釈や判断にも役立つはずです。

 

◎ 創造

ビジネスにおいて「吸収した情報をアイデアに昇華していくためのメモ」が重要。そのためには、新しいアイデアや付加価値を生み出すことを目的とした、知的生産のためのメモを書くことが大切です。これには、以下3つの思考プロセスがあります。

  1. ファクト(客観的な事実)を知る
  2. ファクトをもとに抽象化する
  3. 抽象化したものを自分の活動に転用する

たとえば広告関係の人が打ち合わせのとき、「テレビ通販で、時間ごとの売れ筋に変化が出てきた」という事実を知ったとしましょう(※これは事実ではなく例を示すためのフィクションです)。

すると「若者は夜更かし、高い年齢層は早寝の定説が、変化しているのではないか」と抽象化し、「夜中の時間帯に、高齢者向け健康食品の広告を打ってみる」といった具合に転用できるわけです。言ってみれば「創造するメモ」ですね。

――これまでの内容を参考にすると、理想的な打ち合わせメモには効率・リアルな記憶・創造といった要素が必要だと考えられます。リアルな記憶を宿し、活動をスムーズにして、新しいものを生み出すメモというわけです。では実際に落とし込んでみましょう。

 

理想的な「打ち合わせメモ」の手順【実践例つき】


自分に合うメモ術を見つけて、テンプレートを活用して、テクニカルなことはあまり気にせず、より自分の目的に沿ったかたちでカスタマイズしましょう。

左側のページに「ファクト(客観的な事実)」を、それを「抽象化」したものを右側のページ半分に、さらに自分の活動へと「転用」したものをもう半分に書いていきます。

前田氏流「知的生産のためのメモ」術のフォーマット

一番左にある標語は、ファクトに対するキャッチフレーズのようなものです。標語を見れば、そのひとくくりが何かすぐわかる、といった具合です。

これに、【★手書きにする ★なんでも書き留めない ★誰に質問するべき内容かトピックごとに明記する ★書いたときの感覚も記録する】といった要素も組み込んでいきます。

メモをとりながら、これが「客観なのか・主観なのか」「重要なのか・そうでないのか」と意識できるよう、次の法則で4色ペンを使うと効果的。それに上記の要素(★マーク)も加えるとこうなります。

  • ファクト(客観的な事実)は黒ペン:+【★その内容を質問したいときの相手の名前】
  • 重要なことは青ペン
  • 最も重要なことは赤ペン
  • 自分の意見は緑のペン:+【★書いたときの感覚】

このようなかたちで、打ち合わせのメモを普通のA4ノートに書いてみました。こういった区分けになります。

実際に書いた打ち合わせメモの上に、前田氏流メモのテンプレートを合わせたもの

たとえば「定番商品の伸び悩み」といった客観的事実については⇒「(ライフスタイルの変化で)定番がもはや定番ではなくなっている」と抽象化され⇒「(定番商品の概念を消費者が自由に決められるよう)提供者と消費者双方の視点が生まれるアプリとの連動」といった転用を行なうことができました。

(※これは筆者が過去に体験した打ち合わせを、今回取り上げたメモ術で再現・現時点の状況にあわせて発展させたものです)

筆者が実際に書いた打ち合わせメモ

こうして実際にやってみたところ、普通に打ち合わせのメモをとった場合と、決定的に違う部分があると以下のようにわかりました。

  • メモをとりながら自分で考えるクセがつく
  • 自分がどう感じているか確かめるクセがつき、無理のある計画を減らせる
  • アイデアが生まれたとき、どんな経緯や根拠で成り立った考えか明確になり、のちに説明する際にも役立つ
  • 質問の相手(担当者)を明記しておくと次の行動を整理しやすい

今回筆者は、すでに終わった打ち合わせを独自にリブートしましたが、これでも十分に情報を活性化できるので、「打ち合わせでは通常のメモ⇒すぐあとにこのメモ術で活性化」といった手順でもいいかもしれません。ぜひお試しあれ。

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